骨粗しょう症のお薬飲んでいませんか?
歯科衛生士の大下です。
皆さんは『骨粗しょう症』という病気はご存じですか?
この病気は骨密度が低下し骨折しやすい状態を指します。
骨密度は男女ともに30代をピークに低下するのですが、特に女性は閉経後に更に骨密度が低下し、60代頃から骨折しやすい骨密度の値へと変化していきます。
この骨粗しょう症の治療薬としては大きく分けて4タイプあり、
・骨が壊れるのを抑えるためのもの
・骨がつくられるのを促すもの
・骨が壊れるのを抑える+骨がつくられるのを促すもの
・骨への栄養を補うもの
などが挙げられます。
中でも骨が壊れるのを抑える治療薬として使われるビスホスホネート製剤やデノスマブ製剤を使用している方は『顎骨壊死』を引き起こすことがあるので歯科では注意が必要です。
同様に多発性骨髄腫や悪性腫瘍などの治療薬も顎骨壊死のリスクがあると言われています。
これらの薬を使用しているからといって必ず『顎骨壊死』が起きるわけではありませんが、
お口の中は細菌の数が多いため、清潔に保たなければ虫歯や歯周病にもなりやすく、進行すると細菌感染が骨にまで及び、薬の影響もあって『顎骨壊死』を引き起こすと言われています。
またお口に合っていない入れ歯によって持続的な傷ができると、その傷によって骨が露出しやすくなったり、皮膚と違って歯肉は薄いので骨が露出しやすいと言われています。
『顎骨壊死』をおさえるためには
・虫歯や歯周病、根の先の病変などの治療をきちんと受けて感染源を減らす
・合っていない入れ歯は調整してもらう
・ご自身のお口にあったセルフケア法を歯科で教えてもらったり毎日のケアを丁寧に行う
・定期的に歯科でクリーニングを受けたり、問題がないかチェックしてもらう
などといったことが大切になってきます。
また『顎骨壊死』は確率的には低いのですが、抜歯などの外科処置が引き金となって発症するとも言われています。
骨粗しょう症のお薬を使用している方は顎骨壊死を起こさないよう治療薬の情報を歯科できちんと伝えるということも大切になってきます。
現在、川原けんこう歯科ではお薬を服用している方にお薬手帳の持参をお願いしていますが、注射薬や点滴の情報までは記載されていない場合もあるので、骨粗しょう症の治療をしている方でこれらのお薬を使用している方はお申し出ください。
寒い季節になってきましたが体調管理に気を付けながらお口の健康も保っていきましょう。
(2023年nico 9月号参照)