歯の健康を守るためには、年齢などのライフステージに合わせたケアが大切です。
例えば、3歳児の歯科検診で見つかったむし歯の平均歯数は1989年で2.9本でしたが、2018年は0.51本と大きく変化しています。また、75~79歳の残存歯数は平均15.6本と増加しているにも関わらず、歯を失うリスクが高い歯周病の罹患率は増加しています。このように、変化する時代背景にも適応した細やかな歯科医療が求められています。
むし歯や歯周病の重症化予防を広く定着させ、生涯を通じたお口の健康のために、「口腔管理体制強化」が制定されました。
口腔管理体制強化とは
健康寿命を延ばして生活の質を保つため、お口のトラブルが発生してから治すことよりも、口腔機能を維持・向上することを重視した国の認定制度です。認定されると、むし歯や歯周病によって歯を失わないために、予防をメインとした定期的な管理ができます。
必要に応じて他の医療機関や地域包括支援センターなどと連携をとりながら、お一人お一人に適した歯科医療を提供することにより、お口の健康を生涯にわたり見守っていきます。
「口腔管理体制強化」(口管強)に認定されるための基準
「口腔管理体制強化」(口管強)の認定基準は以下の10項目です。
(特定非営利活動法人 歯科医療情報推進機構HP参照)
- 歯科医師・歯科衛生士の配置複数名の歯科医師、または歯科医師1名以上と歯科衛生士1名以上が配置されていること。
- 特定の治療実績過去1年間に以下の条件を満たしていること
- ・歯周病安定期治療(Ⅰ)または(Ⅱ)を合計30回以上算定
- ・フッ化物歯面塗布処置または歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算を合計10回以上算定
- ・クラウン・ブリッジ維持管理料を届け出
- ・歯科点数表の初診料に規定する施設基準を届け出
- ・訪問診療の実績
- ・過去1年間に歯科訪問診療1または2の算定回数、または連携する在宅療養支援歯科診療所1または2への依頼による訪問診療回数が合計5回以上であること
- 診療情報の提供・連携実績過去1年間に診療情報提供料または診療情報連携共有料を合計5回以上算定していること
- 研修修了者の在籍歯科疾患の重症化予防、高齢者の心身の特性、緊急時対応に関する適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること
- 緊急時対応の連携体制診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること
- 訪問診療の説明と文書提供歯科訪問診療が可能な担当医を指定し、担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項などを事前に患者または家族に説明し、文書で提供していること
- 特定の実績・参加研修修了者が以下の項目のうち3つ以上を満たしていること
- ・居宅療養管理指導の提供実績
- ・地域ケア会議への年1回以上の出席
- ・介護認定審査会の委員経験
- ・在宅医療に関する会議等への年1回以上の出席
- ・栄養サポートチーム連携加算の実績
- ・在宅医療または介護に関する研修の受講
- ・退院時共同指導料または在宅患者連携指導料の算定実績
- ・認知症に関する研修の受講
- ・自治体が実施する事業への協力
- ・学校校医等の就任
- ・歯科診療特別対応加算または初診時歯科診療導入加算の算定実績
- ・治療時の吸引装置の設置
- ・歯科ユニットごとに歯科治療時に発生する細かな物質を吸引できる環境を確保していること
- 緊急時の装置・器具の整備安全な歯科医療環境を提供するため、以下の装置・器具等を備えていること
- ・自動体外式除細動器(AED)
- ・経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
- ・酸素供給装置
- ・血圧計
- ・救急蘇生セット
- ・歯科用吸引装置
患者さまが「口腔管理体制強化」
(口管強)を選ぶメリット
「口腔管理体制強化」(口管強)の基準を簡単にまとめると、次の4点です。
- 重症化予防と長期的な治療実績長期的に重症化を予防し、安定した治療を提供する実績があること
- 特別な研修を受けた専門スタッフ特別な研修を受けた歯科医師や歯科衛生士が常勤していること。
- 万全の感染対策と緊急対応感染対策を徹底し、万が一の緊急時にも対応可能な体制を整えていること
- 地域との連携と在宅医療在宅医療を提供し、地域と密接に連携していること。
このように、「口腔管理体制強化」(口管強)を満たす歯科医院は、患者さまの口内環境の維持・向上に努め、万が一の事態に対応できるように、スタッフや設備を万全に整えています。
子供から高齢者まで、また歯科受診が難しい方でも安心して治療を受けることができます。
4つのメリット
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予防歯科・フッ素塗布の保険適用回数の増加
一般的な歯科医院では、フッ素塗布治療を再び保険適用で受けるには3ヶ月以上の期間を空ける必要があります。
しかし、「口腔管理体制強化」(口管強)認定を受けた歯科医院では、毎月保険適用で治療を受けることが可能です。 -
歯周病の安定期治療
歯周病の安定期治療は、歯周病の再発を防ぐために定期的にクリーニングを行うものです(歯垢・歯石・着色汚れの除去)。この治療も、一般的な歯科医院では3ヶ月以上の期間を空ける必要がありますが、「口腔管理体制強化」(口管強)認定を受けた歯科医院では、毎月保険適用で治療が可能です。
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在宅訪問ケアが保険適用で利用可能
「口腔管理体制強化」(口管強)認定の歯科医院では、持病や体力、高齢などの理由で歯科受診が難しい患者さまも、保険適用内でご自宅での訪問ケアを受けることができます。毎月保険適用で受けられるため、症状が重くなる前に予防歯科治療を行いやすくなります。
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安心・安全
「口腔管理体制強化」(口管強)認定の歯科医院には、滅菌・消毒のための設備が整っており、衛生面で安心です。また、感染症を持つ患者さまの治療に適切に対応でき、自動体外式除細動器(AED)や救急蘇生セットなども備えているため、治療中以外の万が一の事態にも対応できます。
「口腔管理体制強化」(口管強)は歯科医院選びの一つの基準になります。
以上のようなメリットから、「口腔管理体制強化」(口管強)の認定は、歯科医院を選ぶ際の重要なポイントになります。全国でこの厳しい認定基準を満たす歯科医院は約10%程度と言われています。予防歯科は一生涯にわたって患者さまの口腔の健康を守る場です。
可能な限り安全に、安心して歯科医療を受け、長期的に良好な関係を築くためにも、「口腔管理体制強化」(口管強)に認定されている歯科医院を選択することをお勧めします。
当院では認定施設として、より患者様にご納得いただけるような治療を提供できるようになりました。上記に記載があります通り、PMTCやフッ素塗布などでお口の健康を維持し「いくつになっても自分の歯で食べられる喜び」を感じていただけるよう尽力いたします。
気になる事、ご不安な事などございましたら、是非当院までご相談くださいませ。