セルフケアの質を上げませんか?
歯科衛生士の大下です。
皆さんは歯の健康を保つため、お家でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が必要であることはご存じですか?
歯科医院でのプロフェッショナルケアは患者さんの口腔内の状況に合わせて、通常数ヶ月~1年程度の間隔で行うことが多いため、歯の健康を維持するにはいかに適切な道具を使って磨き残しを減らしていくかという事が重要になってきます。
また、とある歯科の調査によると8割近くの人が1日2回以上歯磨きを行っているにも関わらず成人の8割に歯周病のなんらかの症状があることが報告されています。
つまり、多くの人が毎日歯を磨いていても磨き残しをしているという現実があります。
患者さんとお話ししていると
・歯ブラシのみの歯磨きしか行わない方
・気になる時もしくは気になる所のみ歯ブラシのほか補助用具(歯間ブラシやフロス)を使う方
・歯ブラシも補助用具も毎日使う方
の3パターンに分かれることが多いように感じます。
ちなみに歯ブラシだけだとプラーク(歯垢)の除去率は58%ほどといわれており、歯ブラシとフロスの併用で86%、歯ブラシと歯間ブラシの併用で95%にあがると言われています。
歯ブラシ以外にも道具を使うとなると面倒に感じたり、歯間ブラシやフロスを使うのは難しいと感じる方も中にはいらっしゃるかと思いますが、これらを使いこなせるようになれば自分のお口の健康を保つための強みとなるので、ぜひ日常生活の一部に取り入れてもらえたらと思います。
私も歯科衛生士の専門学校に通うまではフロス自体知らず使ったこともなかったので、慣れるまでは練習が必要でしたが、慣れてしまった今ではフロスを使ったあとのお口の中の爽快感にやみつきになっています。
今回は皆さんの補助用具選びの参考になればとフロスと歯間ブラシの選び方や使い方についてお伝えしていきたいと思います。
まずフロスには糸だけのタイプとホルダータイプのものとで2種類に分かれます。
フロスの中でもワックス付きのものは初めて使用する方やフロスを通すのが苦手な患者さんにおすすめです。
ワックスなしのものはプラーク除去効果がより高いと言われてるので慣れている方はこちらの使用がおすすめです。
ホルダータイプのものは糸だけのタイプが苦手な方におすすめです。
ホルダータイプにはF字型とY字型のタイプがあります。
F字型は前歯に、Y字型は奥歯に使うと使いやすいと言われています。
まずはワックスのついた糸だけのタイプで試してみて、難しいようであればホルダータイプに変えていくのがよいかと思います。
フロスを使うときはノコギリを引くように少しずつ挿入し、隣接する歯の両面をフロスでかきあげるようにして汚れを落としましょう。
次に歯間ブラシについてですが、こちらは歯と歯の間に歯間ブラシが通る隙間がある方のみ使って頂くものになります。
歯間ブラシはブラシの形が3つのタイプに分かれます。
(上からストレート、テーパータイプ、バレルタイプ)
歯の隙間が小さい方はストレートタイプの形で十分ですが、歯の隙間が広い方はテーパータイプの形の方が挿入しやすいと言われています。
ただし、テーパータイプを使ってみてブラシの根元の毛先が引っかかり引きにくい場合はバレルタイプの形がおすすめです。
また、歯間ブラシは持ち手の形も様々です。
ストレートタイプは前歯部で使いやすく、奥歯に使うときはブラシの持ち手部分を折り曲げて使うと通しやすいです。
アングルタイプ(L字型)は奥歯に使いやすく、カーブタイプは前歯から奥歯まで広く使用できます。
(上からストレートタイプ、カーブタイプ)
持ち手の長さに関しては短い方が細かい動きができると言われていますが、短いものが持ちにくい場合は長めのものを選んでもらうと良いかと思います。
歯間ブラシは歯肉に対して水平に入れるのではなく、やや歯の先端に向けて挿入すると入れやすいです。
フロスと同様に隣接する歯の両面に沿わせるように動かし、表側だけでなく裏側からも通しましょう。
以上今回はフロスと歯間ブラシの選び方・使い方についてお話しましたが、特に歯間ブラシはご自身でのサイズ選びが難しいかと思います。
今まで自己流でなんとなくやってたけど、一度自分に合っているものを知りたい!という方や使い方がよく分からないから詳しく教えてほしい!という方はお気軽にご相談ください。歯ブラシだけでなく補助用具も使いこなして一緒に歯の健康を保ちましょう!!
2022年 デンタルハイジーン5月号 参照