入れ歯のお手入れについて
歯科医師の松浦です。
今回は入れ歯のお手入れについてお話しさせていただきます。
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入れ歯について
年齢を重ねると虫歯や歯周病、外傷などが原因で残念ながら歯を失うことがあります。
歯を失うことで下記のようなことが起こります。
1.食べ物を嚙み砕くことがしにくくなる
2.表情が変わる
3.顎の力が弱くなる
4.かみ合わせが悪くなる
5.発音がしにくくなる
6.認知機能の低下が起きる可能性がある
7.喰いしばることができずに体のバランスを崩し転倒しやすくなる
などなど
歯がなくなるとそこを補うにはブリッジや入れ歯やインプラントといった選択肢があるのですが、今回はその中で入れ歯についてお話しします。
入れ歯には、総義歯(総入れ歯、フルデンチャー)と局部義歯(部分入れ歯、パーシャルデンチャー)があります。
総義歯は歯が1本もない場合で、歯茎が咬む力をうけます。
局部義歯は一部歯が残っている場合で、金具がかかる歯と歯茎が咬む力を受けます。局部義歯は残っている歯の本数や位置、状態により形状が異なります。
義歯は喪失した歯に代わる人工歯(白色のところ)義歯床(ピンク色のところ)そして歯に固定するクラスプと言われるバネでできています。
入れ歯のお手入れ方法ですが、局部義歯、総義歯ともに入れ歯は口から外して洗います。局部義歯の場合、クラスプ(歯にひっかける金具)をかけている歯は汚れやすいので丁寧に磨きましょう。入れ歯にも歯と同じように食べかすやプラーク(歯垢)がつきます。入れ歯に汚れがついていると歯茎が腫れるなどの炎症が起きたり、口臭の原因にもなります。快適に義歯を使うために毎日丁寧にお手入れをして清潔に保ちましょう!!
入れ歯のお手入れが不十分の場合に起こるトラブルには下記のものがあります。
・口臭が発生しやすくなる
・口内炎の原因になる
・入れ歯に色素や歯石が沈着しやすくなる
・部分入れ歯の場合、クラスプがかかっている歯が虫歯や歯周病になりやすくなる
これらのトラブルを防ぐためにも、入れ歯と口のお手入れを行うことが大切です。
義歯のみがき方
入れ歯は歯ブラシや入れ歯専用の歯ブラシなどを使って流水下で洗ってください。歯磨き粉で洗うと義歯を傷つけることがあります。
義歯を洗うときは研磨剤が入っていないものか義歯用の洗剤を使用してください。あまり強くこすらないように洗いましょう。
入れ歯は強い力がかかると割れる可能性があります。洗面台などに落とさないように注意しましょう。
義歯洗浄剤は指示通りの使用方法に従ってお使いください。熱湯は入れ歯が変形したり、割れる可能性があります。
水かぬるま湯を使用してください。
毎食後のお手入れ
1.洗面器などに水を張る
落として破損したり流水口に流したりしないようにする
2.入れ歯を外して流水下で清掃します
就寝前のお手入れ
毎食後のお手入れに加えて、就寝前は義歯洗浄剤を使用してお手入れしましょう。
1.ブラシを用いて流水下で清掃します。
2.ぬるま湯に義歯洗浄剤を入れて、入れ歯を浸漬します。
洗浄剤を使用するとブラシだけでは落としきれない汚れやカンジダ菌などの真菌(カビ)や細菌を除去できます。
できれば一日一回は入れ歯洗浄剤を使用して清掃しましょう。
3.義歯用ブラシで浮き上がった汚れと義歯洗浄剤を洗い流します
入れ歯のまわりのお手入れ方法
金属の部分(クラスプ)をかける歯や入れ歯と接している歯の面は汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病になる恐れがありますので、丁寧に磨きましょう。
クラスプがかかっている歯の歯みがき
歯ブラシを横から入れて小さく動かしてみがきましょう。
入れ歯の内面と接する歯肉などの粘膜も清掃するようにしましょう。
入れ歯で快適に過ごすために、毎日のお手入れで入れ歯はもちろん残っている歯や粘膜を清潔に保ち、かかりつけの歯科医院で定期健診を受けましょう‼