智歯周囲炎について
こんにちは。歯科医師の吉久です。
今回は智歯周囲炎の話をさせて頂きます。
智歯(第3大臼歯)とは、皆さんがよく耳にする親知らずのことです。
親知らずは、生えてくる時期が10代後半から20代後半であり、親に知られてくることなく生えてくることから名付けられたとも言われているみたいです。
昔に比べると、現代の人達は顎が小さくなってきているので生えてくるスペースが狭くなり、生えてくる時期が遅く、斜めに生えてきたり完全に埋まっている状態の方が多いです。
中には、まっすぐ生えていて症状の出ない親知らずもあります。
歯医者さんで抜いた方がいいですね!と言われる、症状が出てきそうな生え方をしている親知らずを放置していると主にどんなリスクがあるのかについて説明していきます。
①歯茎の炎症
歯磨きが当てづらく歯垢(プラーク)や食べかすが溜まり歯茎の腫れや痛みが出てしまいます。症状がひどくなっていくと親知らず周辺の炎症は、舌の下・頬・下顎から首へと伝わります。さらに、お口を動かす筋肉にも広がり口が開けづらく飲み込みにくくなってしまうこともあります。
こういった症状は、ストレスがかかったときや免疫が下がっているときなどに出てきやすいです。
②むし歯
歯磨きなどがしづらく、親知らずの前の歯との間に歯垢(プラーク)が溜まりやすいため、親知らずではなく前の歯までむし歯になることもあります。
③歯周病
溜まった汚れが炎症を起こし、歯を支える骨が溶けてきてしまいます。
④頬粘膜の傷
変な方向に生えた親知らずが頬のお肉を噛んで傷になることもあります。
➄歯並び
矯正治療で歯並びが綺麗になっても、その後親知らずのせいでまた乱れてしまうこともあります。
続いて、治療法について説明していきます。
強い症状が出ている場合、以下の理由からすぐに歯を抜くことはできません!!!
・炎症によって麻酔が効きにくい
・治りが遅くなり、痛みや腫れがひどくなってしまう
こうした理由から、症状が落ち着くまでは周りを綺麗に掃除してあげたり、菌をやっつける抗生物質を飲んでいただき炎症が引くまで待ちます。
炎症が落ち着いている方は、歯を抜く治療に移ります。
親知らずに症状がある方もそうでない方も、お口に関して気になる事があればお気軽にご相談ください😊
(参考資料:口の中がわかる歯科口腔科学読本
nico2021年1月号 )