根面う蝕
こんにちは。衛生士の大原です。
少しずつ涼しくなり、過ごしやすい季節になりましたね。
医院の横に大きな金木犀の木があるのですが、小ぶりでかわいいお花が咲き誇り毎日とてもいい香りがしています。診療室からも金木犀が見える場所があり、窓から風が入ると優しい香りがふんわり入ってきて、秋らしさを感じます。ぜひ患者様にも金木犀の香りを感じながらリラックスして治療、メインテナンスを受けて頂きたいです。ブログを見ました!と言って下さればぜひそちらのチェアへご案内しますね!
今回は『根面う蝕』についての話をさせて頂きます。
根面う蝕とは歯の根元にできる虫歯の事で、年齢を重ねるにつれ増加します。
皆さんは以前よりも歯が長くなったと感じたことはありませんか?
歯周病や加齢、過度なブラッシング圧などで歯肉の退縮が起こると、
歯の根っこ(根面)が露出します。見た目も気になりますが、それ以上に問題なのが
この根っこ(根面)の部分はとても虫歯になりやすく、進行が止まりにくいという事です。
歯の構造はエナメル質と象牙質の大きく二つに分けられます。
エナメル質の組織は無機質が95%、有機質と水分が5%でとても硬い材質です。
根面の象牙質は無機質69%、残りの31%は有機質(有機質のほとんどはコラーゲン)で硬さはエナメル質に比べて4分の1未満と言われています。
エナメル質はハイドロキシアパタイトの結晶で、象牙質はコラーゲンを足場にしてハイドロキシアパタイトの結晶がくっついています。この構造の違いにより象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く溶けやすいのが特徴です。
通常お口の中のPhは6.8~7.0の中性です。
エナメル質が酸によって溶け出すのはPh5.5程度ですが、酸に弱い根面の象牙質はPh
6.0~6.8で容易に溶け出します。
そのためエナメル質が無事でも象牙質の根面だけが虫歯になってしまいます。
唾液にはエナメル質のハイドロキシアパタイトを修復する作用がありますが、象牙質のコラーゲンを修復する作用はないため虫歯がどんどん進行していきます。
これが根面は虫歯になりやすく、進行が止まりにくい理由です。
虫歯予防にはシュガーコントロールやプラークコントロールが大切ですが、根面う蝕に限って言えば歯肉を下げない事が一番の予防になります。
歯肉が下がって根面が見え始めたら、歯が危険にさらされているサインです。
今まで虫歯に縁のなかった方でも新たなリスクの発生により根面が虫歯になる可能性があります。
【根面う蝕を防ぐためのポイント・・・】
①過度な力をかけすぎないよう注意して、丁寧なブラッシングをする
②フッ素を有効に活用する(根面う蝕予防に特化した歯磨剤やフッ素洗口剤を使う)
③歯科医院でメインテナンスを受ける
根面う蝕はとても厄介な虫歯で、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、ご自宅でのセルフケアが必要不可欠です!
川原けんこう歯科医院では、皆様のお口の状態に合わせたセルフケアを提案させて頂きます。ぜひ検診、メインテナンスにお越し頂き歯科衛生士にご相談ください。